1125th

大祭記念事業のご紹介

重要文化財「御本殿」大改修および「楼門」「回廊」等改修事業

御祭神・菅原道真公の御墓所の上に建つ重要文化財「御本殿」は、天正19年(1591)に筑前国主小早川隆景によって再建されました。重厚な唐破風をもつ檜皮葺きの大屋根、細部にまで施された漆塗り・金箔・彩色や華やかな装飾など、安土桃山時代の豪壮華麗な建築様式を今に伝える貴重な建物です。また道真公の御神霊が永久に鎮まる御本殿に繋がる回廊楼門も檜皮葺きで覆われており、その格調の高さを物語っています。しかし自然素材でつくられた木造建築ゆえに、気候や自然の影響を受けやすく、各時代の人々の手による丁寧な修繕と維持を経て今日まで受け継がれてきました。

来る1125年式年大祭に向け、先人たちより預かった大切な御社殿を未来に継承すべく、124年ぶりとなる御本殿の大改修をはじめ、楼門・回廊の檜皮葺き替え工事を行います。

御本殿124年ぶりの大改修

檜皮屋根、木工、金具、彩色、漆など、専門の職人たちが、一つひとつ手作業で古くから伝わる技法で工事を行っております。伝統技術の継承のみならず、職人の育成にも寄与しています。

檜皮と檜皮を留める竹釘 一枚一枚手作業で葺きます。

漆を一層ずつ掻き落とし、残せるところ、補修すべきところを判断しつつ、約30行程に及ぶ作業をすすめていきます。

御本殿に取り付けられていた約800点の飾り金具はすべて取り外し、京都にて補修を行っています。

苔が一面に繁茂し、一部檜皮が剥がれ落ちてしまった回廊屋根。御本殿工事完了後、楼門・回廊の檜皮葺き替え工事を進める予定です。

防火・防災施設整備事業

近年の未曾有の自然災害の脅威や首里城の火災の事例などを考慮し、重要文化財御本殿をはじめ隣接する建造物を災害から守るため、境内の防火水槽の増設、放水銃、消火栓などの防火・防災設備の整備工事を行います。工事が行われる範囲の埋蔵文化財の調査を行った後、設備工事が始まります。

「天神の杜」環境保全事業

太宰府天満宮は「天神の杜」と呼ばれる樹齢1000年を超える樟をはじめとした、緑豊かな森に囲まれています。しかし、近年の地球環境の変化に伴う異常気象(集中豪雨)により、天神の杜の遊歩道は川のような水路となり、森が雨を蓄えずに境内に流れ出てしまい、植物への影響や今後の水害が懸念されています。また、これからも温暖化は加速し、更に厳しい環境変化が予想される状況を鑑み、次世代にこの美しい「天神の杜」を繋ぐべく、令和5年度より樟の根回りの土の入れ替え、木杭と石組みによる土中環境の改善作業をはじめとする事業を開始し、10年計画で再生していきます。

日本画家・神戸智行氏 文書館に襖絵「千年後の未来」を奉納

太宰府天満宮では1125年大祭に向けて取り組む様々な文化事業の一つとして、明治35年(1902)の1000年大祭を記念して建てられた近代和風建築「文書館」のための24面の襖絵を日本画家・神戸智行に依頼しました。

神戸は、小さな生き物たちの姿に人間の営みを投影した季節感豊かな作品で注目を集める、現代日本画界を代表する作家です。古典に学び、画材や技法を探究して辿りついた、極めて薄い和紙と彩色を重ねる独自の技法は、作品に特有の空気感と奥行きを与え、その繊細な表現は多くの人々を魅了しています。神戸は襖絵の制作のために平成26に家族で太宰府に移り、以来天神さまへの祈りと境内の季節の移ろいを日々感じながら制作に向き合ってこられました。

10年という長い歳月を重ね、この度「千年後の未来」原画が完成しました。この後は襖に仕立てられ、令和92月に「文書館」に設え、一般公開を予定しています。

その他、次のような事業を順次行ってまいります。

  • 境内整備事業
  • 国宝・重要文化財保存施設
    「宝物殿」防災改修事業 /「所蔵文書」補修事業
  • 天開稲荷社改修事業