天神さまと
アート
Relationship with Art
御祭神である菅原道真公、天神さまは、「学問の神様」であるとともに「文化芸術の神様」として信仰されています。漢詩や和歌に秀でた才能を発揮された道真公を慕って、古くから多くの文人や芸術家が当宮を訪れ、それぞれの時代の最先端の作品をご奉納してきました。
いつの時代も文化芸術の発信地であった当宮は、いまなお多くのアーティストを惹きつけてやみません。平成18年(2006)からは、アーティストが太宰府での取材・滞在を経て制作を行う「太宰府天満宮アートプログラム」を実施しています。
国籍やジャンルを問わず、さらに時間まで超越し、多様なアートのあり方を示す当宮独自の取り組みは、いまでは美術の世界でも広く知られるようになりました。
太宰府天満宮では、「境内美術館」と名付け、神社と呼応し合うアートへの取り組みを続けています。これは、文化芸術の神様である天神さまの役割を、現代に継承するものです。
おしらせ
境内アート作品の一時公開休止について
境内で出合うアート Art in the precincts
当宮では、実際に境内の様々な場所でアート作品をご覧いただけます。
いずれも世界の第一線で活躍するアーティストたちが、
当宮や神道について深く思考を巡らせて制作した特別な作品ばかりです。
太宰府天満宮は、御祭神 菅原道真公(天神さま)がここ太宰府の地で薨去(こうきょ)されてから1125年の節目にあたる「菅原道真公1125年 太宰府天満宮式年大祭」を令和9年(2027)に控え、重要文化財「御本殿」の124年ぶりの大改修のため、令和5年(2023)5月よりご参拝の皆様を「仮殿」にてお迎えしております。
改修に要する約3年間の天神さまのお住まいとしての「仮殿」の設計を、現代を代表する建築家 藤本壮介氏率いる藤本壮介建築設計事務所に依頼いたしました。
菅原道真公の御墓所の上に創建された唯一無二の天神信仰の聖地としての太宰府天満宮。その歴史と伝統に、現代建築がどう応えられるのかという大いなる問いに藤本氏が対峙した証としての「仮殿」は、未来を志向する独創的な佇まいとなり、訪れる人々を魅了しています。
本展では、「仮殿」が実現するまでの軌跡を、初展示となる図面や模型、写真を通して辿ります。季節の移ろいとともに多様な植物で彩られる「浮かぶ森」を戴(いただ)いた「仮殿」へのご参拝と合わせて、ぜひお楽しみください。
藤本壮介 プロフィール
1971年北海道生まれ。東京大学工学部建築学科卒業後、2000年藤本壮介建築設計事務所を設立。2014年フランス・モンペリエ国際設計競技最優秀賞(ラルブル・ブラン)に続き、2015、2017、2018年にもヨーロッパ各国の国際設計競技にて最優秀賞を受賞。国内では、2025年日本国際博覧会の会場デザインプロデューサーに就任。2021年には飛騨市のCo-Innovation University(仮称)キャンパスの設計者に選定される。主な作品に、ブダペストのHouse of Music(2021年)、マルホンまきあーとテラス石巻市複合文化施設(2021年)、白井屋ホテル(2020年)、L’Arbre Blanc(2019年)、ロンドンのサーペンタイン・ギャラリー・パビリオン 2013(2013年)、House NA(2011年)、武蔵野美術大学 美術館・図書館(2010年)、House N(2008年)等がある。
【展覧会概要】
藤本壮介展―太宰府天満宮仮殿の軌跡―
会期:令和6年(2024)8月10日(土)~令和7年8月31日(日)
※8/12, 9/16・23, 10/14, 11/4・25, 1/6・13, 2/24, 4/28, 5/5, 7/21, 8/11・25を除く月曜休館
開館時間:9時~16時30分(入館は16時まで)
会場:太宰府天満宮宝物殿 企画展示室
〒818-0117 福岡県太宰府市宰府4- 7-1
観覧料:一般500(400)円・高大生200(100)円・小中生100(50)円
※( )内は30名以上の団体料金、障害者手帳提示により付添者1名まで半額料金
主催:太宰府天満宮
特別協力:藤本壮介建築設計事務所
お問い合わせ:太宰府天満宮文化研究所
メールkeidaiart25@gmail.com
菅原道真公(天神さま)は、承和12 年(845)6 月 25日にお生まれになり、延喜 3 年(903)2 月25日に薨じられました。道真公の御墓所の上に創建された太宰府天満宮では、天神さまにご縁の深い25という数に因み、25年毎の御命日にあわせて式年大祭を執り行い、御神威の甦りと天神信仰のさらなる発揚を促すとともに、地域の発展に寄与するため、様々な事業を行ってきました。
文化・芸術の神様として崇敬される天神さまの御神霊をお慰めする意味において、最も大切にされてきたのは、連歌や詩歌の奉納でした。当宮には、天神さまを想い詠まれた歌とあわせ、奉製された作品の数々が大切な宝物として受け継がれています。
中でも明治35年(1902)斎行の1000年大祭、平成14年(2002)斎行の1100年大祭で奉納された、全国各地の多くの有志からの書画や歌の数々が収められた『余香帖』は、時の人々の天神さまへの篤い信仰を今に伝えています。
現在、1125 年大祭を令和9 年(2027)に控え、安土桃山時代の豪壮華麗な建築様式を特徴とする重要文化財「御本殿」の檜皮の葺き替え、漆塗りなどを中心とする大改修を行っています。また、文化財の調査、境内・建造物の整備等、未来に繋ぐための様々な文化事業にも取り組んでいます。
本展では、これまでの大祭の記録とともに、天神さまに奉納された珠玉の作品群を通して、連綿と受け継がれる信仰とその 歴史の一端をご紹介します。
写真:宝物殿地固め(昭和2年)
1025年大祭(昭和3年)記念に開館、福岡県第1号の博物館登録となる
太宰府天満宮が御祭神・菅原道真公(天神さま)の祀廟として創建され千百余年、その悠久なる歴史の中で天満宮は、平安時代からの庶民による信仰はもとより、大宰府官人や武将による庇護を受け、文化人・学者の聖地として崇められてきました。また、幕末の志士が集い維新の策源地となるなど、それぞれの時代で人々の精神的な拠り所かつ政治的な要所としての役割を担ってきました。第1展示室では、所蔵品展「天神さまへの献上品」を開催いたします。
戦国武将豊臣秀吉や小早川隆景、黒田如水の書状(重要文化財)、大谷刑部吉継寄進の大鏡(福岡県指定)、そして幕末の公家三条実美の和歌など、天神信仰の証として天満宮に奉納された品々をはじめ、大切に伝えられてきた貴重な資料を紹介します。
※展示内容を替えることがあります。
Nerhol「Tenjin, Mume, Nusa」
太宰府天満宮では、田中義久と飯田竜太がアーティストデュオとして平成19年(2007)から国内外で活動を続けるNerhol(ネルホル)の新作を公開いたします。
彫刻家とグラフィックデザイナーという二人の美術家の対話を原点とするその活動は、彼らが巡り会う人々、場所との物語を源泉としており、余波として生まれる作品からは、あらゆる境界を自在に行き来しながら私たちに美術の深遠さを呈します。
代表作とも言える、3分間連続的に撮影した肖像写真を数百枚重ねたレイヤーを彫る「Misunderstanding Focus」シリーズでも明らかなように、時間の経過、記憶を紡ぐ行為に殊更に眼差しを向けてきた二人は、数年前から太宰府天満宮に流れる時間にまつわる概念を共通項として見出すようになりました。数回にわたる太宰府での滞在中、神苑を歩き、被写体と交わした言葉は、神社が1100年以上の歴史の中で大切に受け継いできた自然、ひと、建物の記憶を「彫る」という行為に結実しました。過去からの記憶を頼りに彼らが辿り着いた景色にしばし心を寄せる時間をお楽しみください。
描かれた天神さま
日本史上きっての文化人で優れた政治家として名高い菅原道真公(845-903)は、大宰府で清らかなご生涯を閉じられました。御墓所の上に祠庿が造営されたのが太宰府天満宮の草創であり、以来、道真公は天神さまとして崇敬を集めてきました。
信仰の対象として描かれた姿は、和装の「束帯天神像」と唐服の「渡唐天神像」に大別されます。「束帯天神像」は、平安貴族の正装の姿で、ゆかりのある梅や松とともに描かれます。一方「渡唐天神像」は、天神さまが大陸に渡り、禅の教えを受け袈裟を授けられたという時空を超えた伝説とともに大流行しました。
この度、伝来品から近年収蔵のものまで140件を超える天神像コレクションから、40件余を厳選しご紹介いたします。南北朝時代14世紀から近代20世紀までの600年。時代の流れを受けて変容してきた天神さまの絵姿をお楽しみください。
さらに、82年ぶりに再発見された名品=狩野山雪 筆「山水花鳥図屏風」をあわせて初公開いたします。伊藤若冲や長沢芦雪に先駆ける奇想の画家として注目される肥前生まれの山雪の極上の作品世界をぜひご堪能ください。
Full of Treasure Mountain-宝満つる山、祈り満つる山ー
宝満山が国の史跡に指定され、この秋に10年となる節目を記念し、企画展「Full of Treasure Mountain-宝満(み)つ山、祈り満つる山ー」を開催いたします。
太宰府市と筑紫野市の境に聳え、年間約10万人の登山者が訪れる宝満山は、古くから信仰を集めてきた霊山です。天智天皇の頃、大宰府政庁の鬼門除けのために八百万神を祀ったことが神祭の始まりと伝わっています。大宰府鎮護や国家繁栄のための祭祀、その後は修験道の山伏による加持祈祷など、今日まで1360年という長い歴史の中で様々な祈りが捧げられてきました。
本展では、宝満山の史跡や考古遺物に造詣が深い故・小西信二氏によって山中より採取された祭祀遺物や、かつて竈門神社を守護した獅子・狛犬、雨乞い祈祷の水鏡などの信仰遺品をはじめ、現代の作家による写真作品など、幅広い時代の品々を展示いたします。人々の祈り、神への感謝、そして豊かな自然といった多様な「宝」満つる山の寛容さ、魅力を感じていただける機会となれば幸いです。
三田真一展 in-Spire – Breath of life – 呼吸
時は江戸末期。
日本各地から志士が訪れ、
未来を見据えた熱い談義が交わされていた
ここ太宰府天満宮の宝庫で、
何者かによって、いにしえより封印されてきた
「箱」が開けられてしまう。
中身は、誰が何の目的で、いつ作ったか判然としない、古い技術と新しい技術の融合物のような品々だった。
様々な憶測と空想、あるいは妄想が日本中に広がった。
品々を見に集まった腕に覚えのある職人たちはそこに自分たちの技の源流を見た。
あるものはそれを「宙服(ソラフク)」だと捉え、あるものは死者の魂を黄泉の国に
送り届ける為のものだと言った。
宇宙、並行世界、異界の存在、精霊の抜け殻
作家 三田真一と作家達が繰り広げる壮大な物語に身を委ね「呼吸」を感じてほしい。
太宰府天満宮コレクション展ー時空を超越する天神さま
太宰府天満宮の御祭神 菅原道真公は、栄位を極めながらも波乱に満ちたご生涯を太宰府にて閉じられました。現在は天神さまと仰がれる道真公のご一生とご霊験は人々に語り継がれ、やがて絵に描かれるようになり、天神縁起絵として成立していきました。縁起を紐解くと、道真公の没後は、変幻自在に姿を変え、時空を往来する、まさに神のなせる業を繰り広げる天神さまが紹介されています。
神様となられた道真公がお鎮まりになる聖地 太宰府天満宮には、神社の長い歴史の中で時を重ねつつも、当時の記憶を宿した文化財が数多く収蔵されています。
この展示室では、場面ごとに詳細に描かれた天神縁起画伝をはじめ、天神伝説にまつわるもの、天神信仰の証として奉納されたもの等を広く展示いたします。当宮草創1100余年の間に流れる時間を旅してみませんか。
太宰府天満宮工芸コレクション展ー梅の意匠を中心に
「東風吹かば 匂ひおこせよ梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ」
これは、太宰府天満宮の御祭神 菅原道真公が京都の自邸を離れる際に詠まれた歌として知られていますが、主との別れを惜しみ、一夜にして大宰府まで飛んできたという太宰府天満宮の御神木「飛梅」の開花を皮切りに、約200種6,000本の梅が次々に花を咲かせ、境内は馥郁たる香りに包まれます。
古今を問わず、梅を想い、創作に挑んだ作家は少なくありません。梅は、絵画、書、工芸などといった、ジャンルに関わらず、作家にとっての永遠のモチーフとして採用され、その作品は時代を超え、私たちの琴線に触れるのです。本展では、当宮の所蔵品の中から梅にまつわる作品をご紹介いたします。
宝物殿
菅原道真公ゆかりの展示や、
様々な企画展を行う
道真公の御佩刀や国宝「翰苑(かんえん)」などの貴重な古文書や美術品を収蔵し、太宰府天満宮の成り立ちや天神信仰にまつわる展示・研究を行っています。
近年では、アーティストが太宰府での取材・滞在を経て制作を行う「太宰府天満宮アートプログラム」を始めとする、現代アートの展示にも力を入れています。「境内美術館」の拠点としての情報発信も行なっていますので、アート探訪の際に、是非お立ち寄りください。
併設のミュージアムショップでは、展覧会の関連グッズや当宮オリジナルグッズ、書籍などをお求めいただけます。
- 開館時間
- 9:00~16:30(入館は16:00まで)
- 休館日
- 月曜日
※祝日・振替休日の場合は開館。展示替えのため、臨時休館することがあります。
拝観料 | 個人 | 団体 |
---|---|---|
一般 | 500円 | 400円 |
大学生・高校生 | 200円 | 100円 |
中学生・小学生 | 100円 | 50円 |
※30名以上で団体料金となります。団体でご来館の際は事前にご連絡ください。
菅公歴史館
太宰府天満宮のあらましを分かりやすく展示しています。学問・文化芸術・厄除けの神様として信仰を集める菅原道真公の、波乱に満ちた御生涯を、衣装を着せた博多人形によって物語のようにご覧いただけます。また当宮にて日々執り行う祭典や神事の様子を、写真や実際におまつりで使用する祭具でお伝えしています。
- 開館時間
- 9:00~16:30(入館は16:00まで)
- 休館日
- 火曜日・水曜日
拝観料 | 個人 | 団体 |
---|---|---|
一般 | 200円 | 150円 |
大学生・高校生 | 150円 | 80円 |
中学生・小学生 | 100円 | 50円 |
※30名以上で団体料金となります。団体でご来館の際は事前にご連絡ください。
九州国立博物館
明治期に第36代西高辻󠄀信厳宮司を中心に設置が構想され、昭和46年、第38代信貞宮司が境内地14万㎡を建設用地として寄附したことを経て、平成17年に日本で4番目の国立博物館として開館。文化芸術の神様の聖地にふさわしく、博物館はいつも新たな学びにあふれています。
- 開館時間
- 9:30~17:00(入館は16:30まで)
- 休館日
- 月曜日(祝日・振替休日の場合は翌日)
拝観料 | 大人 | 大学生 | 高校生、18歳未満、 満70歳以上 |
---|---|---|---|
一般 | 700円 | 350円 | 無料 |
※特別展は別料金となります(特別展の料金で文化交流展もご観覧いただけます)。詳細については、九州国立博物館のウェブサイトをご覧ください。
太宰府天満宮・九州国立博物館 共通チケット
宝物殿と菅公歴史館、九州国立博物館文化交流展示室(常設展)の三つを観覧できる、お得なチケットです。
共通チケット(一般)
1枚 1,400円 1,000円
- ※団体販売はございません。
- ※九州国立博物館文化交流展示室(常設展)は、18歳未満は無料・大学生も学割料金(350円)が適用されますので、一般の方のみの販売となります。
<販売場所>
太宰府天満宮宝物殿/菅公歴史館/九州国立博物館1階チケット販売所